AYUTANINATUYA

脱サラ・アラサー大学院生。日記と、趣味のゲーム・書籍・漫画などのサブカルを発信してます。

お知らせ:更新ペースアップ/2016年9月

 鮎谷ナツヤです。前々から考えていたのですが、ブログの更新ペースを上げる計画をしています。具体的には、現10記事/1ヶ月→次15記事/1ヶ月にしようと考えています。
 2016年の4月から新社会人として働きつつも3日おきに記事を投稿し続けてきたが、ややマンネリになりつつある、そこをなんとかしたいというのが主な理由です。

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無関心でいられない“伊坂マジック”/小説『死神の浮力』感想

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 伊坂幸太郎による小説『死神の浮力』を読み終えまして、感想を綴ります。

 

死神の浮力

 娘を殺された山野辺夫妻は、逮捕されながら無罪判決を受けた犯人の本城への復讐を計画していた。そこへ人間の死の可否を判定する“死神”の千葉がやってきた。千葉は夫妻と共に本城を追うが―。展開の読めないエンターテインメントでありながら、死に対峙した人間の弱さと強さを浮き彫りにする傑作長編。

(「BOOK」データベースより引用)

『死神の精度』(2004年・第57回日本推理作家協会賞・短編部門受賞)の続編にあたります。“死”をテーマに据えつつ、軽妙な会話劇が炸裂するエンターテインメント・ミステリーです。

『死神の精度』とは別仕立ての物語であり、また死神の基本的な事柄を説明するシーンもしっかりあります。なので、前作を読んでいなくても話を追うことはできます。しかし千葉をはじめとする死神の特徴・ルールを理解するためにも、前作を読んでおくとより『死神の浮力』を深く味わえると思います。

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野球における関係性/アニメ『バッテリー』感想

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 2016年7月から放送されていたアニメ『バッテリー』(全11話)を見終えたので、感想を綴ります。
 

アニメ『バッテリー』あらすじ

「原田巧」はピッチャーとして抜群の野球センスを持つ少年。父親の転勤を期に移り住んだ山あいの街、新田市で、巧は自分の全力投球を受け止められるキャッチャー「永倉豪」と出会う。
 新田東中学校の野球部に入部した二人は、部員同士の軋轢や、教師たち大人の事情に翻弄され、時には互いに衝突しながら、ピッチャーとキャッチャー、2人一組のバッテリーとして成長していく。
(TVアニメ「バッテリー」公式サイト・イントロダクションより引用)
 ちなみに原作小説は未読です。自身に野球経験もありません。
 
 端的にいって、良いところも悪いところもあるアニメでした。

お知らせ:ブログデザインを変更しました/2016年8月

 鮎谷ナツヤです。文字に起こすことでもないのですが、当ブログに新しいパーツを入れています。記事を連続して書くことのできない性格をしていまして、1つ話を締めると、記述意欲が抜けてしまい、スタミナが回復するまで色々と調整作業をしていることが多いです。
 本当はまっさらな背景で、誰が書いたかも分からず、サムネイルもなく、一切の事前情報がない状況で、文章だけで読者を喜ばせたり、考えさせたり、楽しませたりしたいのですが、なかなかそんな文才は身につきません。

ブログを毎日書け/ノンフィクション『ファスト&スロー』感想

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 ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?』を読み終えたので、感想を綴ります。

 

ファスト&スロー 

 我々の直感は間違ってばかり? 意識はさほど我々の意思決定に影響をおよぼしていない? 伝統的人間観を覆す、ノーベル経済学賞受賞者カーネマンの代表的著作。今年度最高のノンフィクション。

【内容情報】(「BOOK」データベースより)

 伝統的な人間観を根底から覆し心理学者にして、ノーベル経済学賞に輝いた著者の代表作。待望の邦訳。私たちは日々、無数の意思決定をなかば自動的に行なっている。カーネマンは、直感的、感情的な「速い思考(システム1)」と意識的、論理的な「遅い思考(システム2)」の比喩をたくみに使いながら、意思決定の仕組みを解き明かし、私たちの判断がいかに錯覚の影響を受けているかを浮き彫りにしていく。人間はこれまで考えられていた以上に不合理なのだ―。プライベートやビジネス、政治における、よりよい決断への道筋を示し、あなたの人間観、世界観を一変させる、21世紀に生きるすべての人、必読のノンフィクション。

 ノーベル経済学賞受賞者による、一般向けの意思決定メカニズムに関する著作です。著者は認知心理学者なのですが、“経済学賞”を受賞してしまったという事実だけで興味深いです。いわゆる「変わった経歴の人の話は面白い」法則です。

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職業に対する一種の“高位性”/映画『孤独の暗殺者 スナイパー』感想

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 映画『孤独の暗殺者 スナイパー』(2014)を見まして、感想を綴ります。

 

孤独の暗殺者 スナイパー

 愛する妻子のため、射撃のチャンピオンの腕前を持つ男は孤独なプロの暗殺者へと生まれ変わる。「涙するまで、生きる」のR・カテブが渋い男の魅力を放つサスペンスドラマ。

 射撃の名手として大会で何度も優勝経験を持つ一方、新居の建設や病気で倒れた父の世話などで生活費を捻出するのに追われ、苦しい日々を送る主人公。そこへ彼の射撃の腕前を見込んだ男が、金になる暗殺の仕事を依頼してきたことから、ついに主人公は、プロのヒットマンとして生きることを決意することに。難しい決断を迫られる寡黙な主人公をカテブが渋く好演するほか、「引き裂かれた女」のL・サニエ、「ニキータ」のT・カリョら、共演陣も豪華で充実。監督は、これが長編デビュー作となる新鋭のF・グリヴォワ。

WOWOWオンライン・番組紹介/解説より引用)

 地味で暗い映画です。フィルムの前半は生活に苦しむ主人公が暗殺者になるまでの過程を映し、後半は暗殺者になったことによる生活の変化や罪の意識に悩む姿が描かれます。

 でも暗殺ものにありがちな血の気の多さ、計画の複雑さはほとんど排除されており、説明も会話も少なく、行動で人物を静かに描写する雰囲気がとても気に入りました。

 特に主人公のヴァンサンは、いわゆる大黒柱の役割を担っており(普段は電気工事関係の仕事に従事している?)、口数も少なく、趣味の射撃に関しても多くを語らないなど、日本人が共感しやすい人物になっていると思います。

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夏は原付に乗って/2016年8月の短文集

シャドウバース

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 スマホカードゲーム『シャドウバース』にはまり込んでしまいました。カードゲームは遊戯王くらいしか体験がない(武藤遊戯が主人公だった頃)自分でも、覚えやすいルールなのに複雑さもあって熱中しています。ちなみにスマホゲームでの初課金も経験しました。ものすごい罪悪感を抱きました。ゲームは好きですが、これ以上やり込むと時間もお金もどんどん吸い取られてゆきそうなので、何とか自制しようと思っています。

推理小説談議/小説『掟上今日子の家計簿』感想

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 西尾維新による小説『掟上今日子の家計簿』を読み終えまして、その感想を綴ります。
 

掟上今日子の家計簿

 眠るたび記憶がリセットされる名探偵・掟上今日子。引き受けた事件は即日解決の彼女のもとに、今日も悩める刑事からの難題が舞い込んだ。呼び出されたのはなぜか、事件現場ではなく遊園地。依頼は、ある事件の容疑者より速く、巨大な脱出ゲームをクリアすることで…? 名探偵vs.容疑者の「最速」の脱出ゲーム、開幕!
(「BOOK」データベースより引用)
掟上今日子の備忘録』からはじまる「忘却探偵シリーズ」の7巻目です。今回の語り部は、事件を担当する各刑事であり、独立短篇集です。
 スタンスとしては『退職願』とほぼ同じ構成です。事件に不審な点があり、各刑事によって今日子さんが呼び出され、1日で鮮やかに事件を解決する、という流れです。ただわずかな違いを挙げるなら、『退職願』では今日子さんによる事件解決によって、事件担当の各刑事が深く感銘を受けるわけですが、『家計簿』では一転して謎解きに専念し、あまり感情的な内容は含んでいない物語になっています。『家計簿』はミステリーに特化している、ともいえるでしょう。
 なので今日子さん自身へのキャラクターの掘り下げもほとんどなく、「キャラもの」として読むとやや不満が溜まる一作だと思います。一方で、『挑戦状』のような推理小説談議が披露されるので、ミステリーの中でミステリーを語るというメタ構造で読み進めると面白いです。

ヒルメス・ナルサス・アルスラーン/アニメ『アルスラーン戦記 風塵乱舞』

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 2016年7月から放送されていたアニメ『アルスラーン戦記 風塵乱舞』(全8話)を見終えたので、感想を綴ります。

 

アルスラーン戦記 風塵乱舞

 交易と肥沃な大地に支えられた大国パルスは、異教徒の国・ルシタニアの侵攻によって、一夜にして、その永きにわたる平和をおびやかされた。パルスとルシタニアの戦いにおいて、初陣にて大敗を経験し、帰るべき土地を奪われて亡国の王子となった少年・アルスラーンは、《マルダーン・マルダーン》「戦士の中の戦士」の異名を持つ最強の騎士・ダリューンと、たったふたりで奪われた王都エクバターナを取り戻すための旅を始める。

 そんな二人のもとに、ナルサスエラムギーヴファランギースジャスワント――過酷な戦いを切り抜ける中、力強い仲間たちが次々と集う。また、アルスラーン自身もさまざまな経験を積むことで、ただ守られるだけの頼りない存在から、周囲を守り導く存在へと、たくましく成長していくのだった。

 しかし王都は未だ遠い。シンドゥラの王位継承争いにまつわる戦いを無事乗り切り、パルスの土地へと凱旋したアルスラーンたちの前には、銀仮面の猛将・ヒルメスが立ちふさがる。そして、ヒルメスをなんとか退け、ふたたび王都を目指そうというときには、さらなる脅威がパルスの土地に迫っていた。

 今、新しい歴史の幕が開く。風塵の乱舞する戦場で、少年は何を見るのか……!

(アニメ「アルスラーン戦記 風塵乱舞」STORY・INTRODUCTIONより引用)

 田中芳樹による小説、および荒川弘による漫画を原作とした大河ファンタジー・アニメです。2015年4月に第1期が放送され(全25話+OAD1話)、『風塵乱舞』は第2期です。

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パワプロ2016・5(栄冠ナイン・2)

 PS4ゲーム『実況パワフルプロ野球2016』を購入しまして、その感想をまとめてみます。今回はゲームモード「栄冠ナイン」についてです。

 

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 発売日から不連続ながらもプレイして、40年以上が経過しました(最初の3年はいわゆる「古田ループ」でスタートし、その後に2016年に飛びました)。現在は全練習設備を揃えてグラウンドレベル99となり、ほぼ確実に甲子園まで行けるようになりました。

 

 栄冠ナインの詳しい攻略法は他のサイトに譲りますが、自分のやり方を簡単に書き出すなら以下の通りです(前回記事との重複・更新あり)。

 

基本的なこと

・ゲーム開始時は1年生を試合で起用して信頼度を上げる

・練習機材を設置してグラウンドレベルを挙げる

・グラウンドレベルを下げないよう、なるべく設置した練習機材を使わない

・各プレイヤーのグラウンドレベルや対戦校の組み合わせにより、すべてが上手く運べるわけではない

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思い出の中から飛び出す/小説『撫物語』感想

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 西尾維新による小説『撫物語』を読み終えまして、その感想を綴ります。

 

小説『撫物語』あらすじ

 かつて神様だった少女・千石撫子。夢を追い、現実に追いつめられる彼女は、式神童女・斧乃木余接の力を借りて、分身をつくることに成功する。しかし4人の「撫子」達は、ばらばらに逃げ出してしまい…? これぞ現代の怪異! 怪異! 怪異! 自分さえ、手に負えないのが青春だ。

(「BOOK」データベースより引用)

 主に『化物語』・『偽物語』・『囮物語』・『恋物語』に登場したヒロイン・千石撫子のエピローグ・ストーリーです。今回は撫子の分身を作ろうとしたところで逃げ出してしまい、追いかける過程を長編で描いています。

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『秒速』のアンサー・フィルム/映画『君の名は。』感想

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 映画『君の名は。』(2016年)を見まして、その感想を綴ります。

 

映画『君の名は。

 千年ぶりとなる彗星の来訪を一ヶ月後に控えた日本。山深い田舎町に暮らす女子校生・三葉は憂鬱な毎日を過ごしていた。町長である父の選挙運動に、家系の神社の古き風習。小さく狭い町で、周囲の目が余計に気になる年頃だけに、都会への憧れを強くするばかり。

「来世は東京のイケメン男子にしてくださーい!!!」

 そんなある日、自分が男の子になる夢を見る。見覚えのない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の街並み。念願だった都会での生活を思いっきり満喫する三葉。

 一方、東京で暮らす男子高校生、瀧も、奇妙な夢を見た。行ったこともない山奥の街で、自分が女子高校生になっているのだ。繰り返される不思議な夢。そして、明らかに抜け落ちている、記憶と時間。

 二人は気づく「私/俺たち、入れ替わってる!?」

 いく度も入れ替わる身体とその生活に戸惑いながらも、現実を少しずつ受け止める瀧と三葉。残されたお互いのメモを通じて、時にケンカし、時に相手の人生を楽しみながら、状況を乗り切っていく。しかし、気持ちが打ち解けてきた矢先、突然入れ替わりが途切れてしまう。入れ替わりながら、同時に自分たちが特別に繋がっていたことに気付いた瀧は、三葉に会いに行こうと決心する。

「まだ会ったことのない君を、これから僕は探しに行く。」

 辿り着いた先には、意外な真実が待ち受けていた……。

 出会うことのない二人の出会い。運命の歯車が、いま動き出す。

(映画『君の名は。』公式サイト・STORYより引用)

「ポスト宮崎駿」を争うアニメ監督の最新作映画です。

 前置きとして、自分は新海誠ファンです。『秒速5センチメートル』から入って、『ほしのこえ』以降の長編作品はすべてチェックしています。また小説『君の名は。』も読了済みです(映画版の感想・批評はこの日まであまり見ないようにしてきました)。

 

 ちなみに公開から10日目の、日曜日の昼過ぎに映画館へ足を運びましたが、500人ほど収容できそうなスクリーンが満席でした。客層は10~20代の男女半々くらいで、(主観的な印象ですが)アニメ映画や新海映画と“意識していない”、普通のエンタメ映画を観る感覚で入館していそうな人が多かったです。

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最近聴いたアルバムの感想

 TSUTAYAの旧作アルバムのまとめ借りは、お金に余裕がない自分にとって本当に助かるサービスです。でもまとめ借りをするために「この1枚!」と集中を一点に絞りにくいことと、以前より音楽を聴く時間が少なくなってしまったので、結果としてほとんど聴かないままプレイリストの片隅に追いやってしまうことが多くなってしまいました。

「このままじゃいけない」と、「アルバムの感想を書くんだ!」と自身に音楽をしっかり聴くプレッシャーを与えて、自らの言葉やリズムにしていく、その過程ための話です。

 

Tree(SEKAI NO OWARI・2015/01/14)

Tree(通常盤)

Tree(通常盤)

 

 前作より2年7ヶ月振りとなる、待望のメジャー・セカンド・アルバム。「RPG」以降の全シングル、「Death Disco」「スノーマジックファンタジー」「炎と森のカーニバル」「Dragon Night」などを収録。(C)RS

 正直いって、それほど期待せずに数合わせで借りて聴きはじめました。でもじつは収録曲にはシングルもタイアップも多く、なおかつアルバムとしてもまとまりがあって聴き応えのあることに驚いた一作です。

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原作漫画からの改変/映画『バクマン。』感想

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 映画『バクマン。』(2015年)を見まして、その感想をまとめてみます。

 

映画『バクマン。

 原作・大場つぐみ、漫画・小畑健、『DEATH NOTE』のコンビが送り出す現代の「まんが道」ともいえる「バクマン。」は、2008年より週刊少年ジャンプにて連載を開始。週刊少年ジャンプとしては異色な内容ながら、連載開始と同時に「DEATH NOTE」ファンはもちろん、サブカルチャーファン、クリエイターファンなど、一般読者から業界関係者にまで幅広い層から熱狂的な支持を受け、全20巻で累計1500万部超えの大ヒットを記録しました。

(映画『バクマン。』公式サイト・INTRODUCTIONより引用)

 高校生の真城最高(あだ名:サイコー/佐藤健)は、高い画力がありながらも将来に夢を持たず、ただ流されて普通に生きてゆくだけの日々を送っていた。最高の叔父(宮藤官九郎)は、かつて習慣少年ジャンプに連載し、その作品がアニメ化された漫画家・川口たろうであった。だが結局は連載打ち切りとなり、その後叔父は過労により亡くなった。そのことが最高の心に暗い影を落としていた。

 ある日、些細な出来事をきっかけに、秀才のクラスメイト・高木秋人(あだ名:シュージン/神木隆之介)に、「俺と組んで漫画家にならないか」と誘われる。はじめは一緒に漫画を描くことを拒否していたが、声優を目指している片思いのクラスメイト亜豆美保小松菜奈)と、「漫画家として、声優として、お互いの夢が実現したら結婚する」と約束したことから、漫画家への道を志すことになる。

(映画『バクマン。』公式サイト・STORYより引用)

 大場つぐみ小畑健による漫画が原作の、青春漫画製作物語です。「漫画の中で漫画の話をする」作忠作という特殊なストーリー構造でありながら、その物語の“熱量”でもって多くのファンを獲得した一作です。

 自分も漫画を全巻持っていますし、NHKのアニメ版(2010年~、全25話)も楽しく見ていました。たぶん『バクマン。』を味わった人は、当作品が他の作品に対する批評教養になったのではないでしょうか。少なくとも自分はそうです。

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