鮎谷ナツヤです。ようやくデジタルTCG【Shadowverse】の第5弾カードパック「Wonderland Dreams ワンダーランド・ドリームズ」の全情報が公開され、あとはその実装を待つばかりの状況です。
そこで、個人的に新カードの実装前評価を記録しておこうかと思います。しばらく時間が経った後で読み返して「このカードが良い働きをするのは予想通りだったな」とか「あのカードがこんなにも使いづらいなんてわからなかった」みたいな話ができたらいいなと考えています。それにもちろん、実装前のワクワク感を皆で共有して新環境へのモチベーションを高めていきたい思いもあります。
それでは評価に移ります。
評価基準
5点:ナーフ議論の対象になり得るほど強力なカード4点:使いやすく適度に強力なカード3点:標準的なカード2点:クセはあるものの構築や状況によっては価値のあるカード1点:使い道の少ないカード各評価点は5点:4枚、4点:8枚、3点:16枚、2点:32枚、1点:44枚(総平均点:2.00)と考えている
備考
- 2017年5月にマスター昇格したばかりの実力
- ランクマッチにて主にミッドレンジネクロとイージスビショップをよく使用している
- 各種攻略サイト(GameWith・GameAIなど)の評価も鑑みている
まずはレジェンドカードの写真付き評価とコメントを載せます。
エルフレジェンド:フェアリードラゴン 4点
守護 ファンファーレ 攻撃力を+Xする。(この値はバトル中に破壊された自分のフェアリーの数である)
序盤に適当に置いてのアグロ対策、中盤に進化後フォロワーの隣に置いての守護、終盤でのダメ押しなど腐りにくい。
「ミニゴブリンメイジ」のサーチ対象になってしまうところと、「風の軍神・グリームニル」のエンハンスで対応できてしまうところが難点か。
エルフレジェンド:ビューティ&ビースト 5点
ファンファーレ 自分のほかの手札が5枚以上なら、+2/+2する。自分のほかの手札にニュートラル・カードが3枚以上あるなら、「このフォロワーへのフォロワー、スペル、アミュレットの能力によるダメージは0になり、このフォロワーは能力で破壊されない」を持つ。
エルフデッキにニュートラルを入れるのは難しいため、耐性を持つためには新カード「鏡の世界」と併用することが前提になると予想。つまりはややテンポロスがあるものの、スタッツが優秀でコスト以上の働きをするはず。
ロイヤルレジェンド:シンデレラ 2点
自分の他のロイヤル・フォロワーが場にでたとき、このフォロワーを手札に戻す。
この1枚のためにロイヤルのデッキ構築を絞るほどカードパワーが高くない。「援護射撃」で使い回すにもアミュレット自体のコストが重く、「シンデレラ」そのものも重い。
ロイヤルレジェンド:古の英雄 2点
突進 このフォロワーは、カードの能力によって破壊されない。(攻撃によるダメージや、能力によるダメージでは破壊される)
ロイヤルのフィニッシャーは新弾でも「レヴィオンセイバー・アルベール」と予想。なのでロイヤルの高コストカードは「アルベール」にどれだけつなぎやすいかがカギとなる。「アルベール」につなげるためには、進化権を残す、守護を片付ける、相手のHPを10以下にする、が重要になってくる。この3つのうち2つは「ファングスレイヤー」でクリアできるが、同カードでは相手リーダーに3点しか与えられない。一方、古の英雄も突進持ちなので進化権を使わずして盤面に干渉できるが、相手のHPを削ることはできない。相手ターンで「古の英雄」を処理できない、またはすでに相手のHPが10以下で削る必要がない場合にはこちらの方が有利か。「バハムート」などで対応できないのは優秀。できれば守護も持ってほしかった。兵士扱いなので「円卓の騎士・ガウェイン」のコストダウン対象外だが、メイドリーダーのサーチは「アルベール」にいくので一長一短。
ウィッチレジェンド:オズの大魔女 2点
ファンファーレ カードを自分の手札が5枚になるまで引く。 スペルブーストを持たない自分の手札のスペルすべてのコストを1にする。 ラストワード つぎの自分のターン開始時、自分の手札のスペルすべてを消滅させる。
どういうデッキに入るのか予想が難しい。アグロ秘術系に入れるならドローソースとして使えそうだが、「土の印」を手札に抱えている場合はその効果を十分に活かせない。現状ではスペル系でOTKができるほど強力なカードがないためオズ軸も難しい。「冬の女王の気紛れ」でラストワードのデメリットを消すことができるが、そもそも6コスト払って「スノーマン」を並べる動きが弱い。5コスト前後のスペルをデッキに多数入れると事故の元になり、ジンジャー系のデッキに組み込むのも厳しい。ドロシー系に「変異の雷撃」とセットで組み込むのが最も自然な気がする。または超越系に採用して「魔力の蓄積」の低コスト化とフィニッシャーを兼ねた使い方が面白いかもしれない。
ウィッチレジェンド:呼び覚まされし禁忌 5点
攻撃不能 自分のターン中、自分の手札にカードが加わり、手札が9枚になったとき、このフォロワーは進化し、相手のフォロワーすべてに3ダメージ。
超越系の頼もしいフォロワー。効果を発揮するのには「運命の導き」と併せて使うことが想定され、事実上のコストは5~6くらいだと考えられる。それでも十分に価値はある。進化するので「ルーンの貫き」がコストダウンするのも嬉しい。
ドラゴンレジェンド:ジャバウォック 3点
ファンファーレ 自分の他のフォロワーすべてを破壊する。破壊したフォロワーそれぞれについて、「それよりコストの大きいフォロワー」をランダムに1枚ずつ、自分のデッキから場に出す。
面白いカード。フェイスドラゴンのフィニッシャーとして期待できる。「ワイバーンライダー・エイファ」など攻撃選択対象外のカードと組み合わせると盤面に残しやすく、ファンファーレを活用しやすい。「ドラゴンナイト・アイラ」や「ウロボロス」などのラストワード発動にも使いやすいため、通常のランプドラゴンに組み込むのも悪くない。
ドラゴンレジェンド:天窮の竜神 3点
ラストワード 次の自分のターン中、自分の場にドラゴン・フォロワーが出るたび、その攻撃力/体力を2倍にする。
「天窮の竜神」そのものは強いと思うが、このカードを活かすために疾走フォロワーを増やす構築は事故を起こしやすく、バランスと引き運に難点がある。現状の疾走ランプ系に2枚ほど追加するのが賢いか。
ネクロマンサーレジェンド:災厄の屍王 1点
【進化前】 攻撃不能 自分のターン開始時 ネクロマンス6; このフォロワーは進化する。【進化後】攻撃可能 ラストワード 災厄の屍王(進化前)1体を出す。
スタッツが高くない、進化してもスタッツそのまま、必要ネクロマンスが重すぎる、「死神の手帳」で呼んでも復活しないなど、不満しかない。
ネクロマンサーレジェンド:ダークアリス 2点
ラストワード 自分の場のネクロマンサー・カードすべてを消滅させ、ダークアリス1体を出す。次の自分のターン開始時、自分の手札と自分のデッキのネクロマンサー・カードをすべて消滅させる。
「デュエリスト・モルディカイ」のように使うにはデメリットが大きすぎる。ラストワードをデッキ圧縮のように用いて、低コストをネクロマンサー・カードで、高コストを「ルシフェル」や「ゼウス」といったニュートラルで構築すれば終盤のパワーカード勝負に強くなる。しかし序盤で高コストをドローしてしまう可能性も高くなり、テンポよく攻めてゆくネクロのよさも失われてしまう。「死神の手帳」や「ネフティス」と組み合わせれば面白くなるかもしれないので、デッキに入れて試す価値はある。
ヴァンパイアレジュエンド:邪悪なる妖精・カラボス 4点
ファンファーレ このバトル中、自分のリーダーは、「ターン開始時に自分のPP最大値は+1されない」と、「自分のターン終了時、相手のリーダーに1ダメージ。カードを1枚引く」を持つ。(邪悪なる妖精・カラボスの能力が複数働いた場合、リーダーは同じ能力を複数持つ)
使ってみないとわからないカード。10PPまで待ってから出すとデメリットをなくすことはできるが、アグロやミッドレンジ系にそのまま組み込んで手札補充や永続ダメージに用いた方が効果的と予想。「バフォメット」でサーチするほどの価値はない。
ヴァンパイアレジェンド:昏き底より出でる者 5点
潜伏 攻撃時 このフォロワーが潜伏状態なら、相手のリーダーに6ダメージ。 ラストワード このフォロワーが潜伏状態なら、相手のリーダーに6ダメージ。
出された場合に対応が難しく、ほぼ確実にダメージを与えられるため出し得なカード。無視もできない高スタッツのため、「よろめく不死者」や「神魔裁判所」でなるべく傷口を小さくする動きを強いることができる。新カード「バンダースナッチ」と併せることでより使いやすい。復讐系のデッキは防御面に不安があるため、「ペルフェゴール」と一緒に組み込むのは難しいか。それとフィニッシュが9~10ターン目とやや遅くなるために環境次第では負けが多くなるかもしれない。
ビショップレジェンド:スノーホワイトプリンセス 5点
使いやすい低コストフォロワー。非ニュートラル軸のデッキなら迷うことなく組み込める。特に「ウルズ」や「天界の忠犬」と併せるとより効果を発揮し、つまりは疾走系と相性がいい。エルフの「エンシェントエルフ」のように息長く活躍できそう。
ビショップレジェンド:黄金郷の獅子 4点
ファンファーレ 手札のコスト5以下のアミュレット1枚を場に出し、それを破壊する。 自分の場にニュートラル・フォロワーが出るたび、このカードのコストを-1する。
デッキをニュートラル軸に組む必要はあるものの、相応の展開力が見込まれる。「次元の魔女・ドロシー」のように序盤から手札に集めておきたい。序盤にアミュレットを引いてきた場合にはそちらを優先し、中盤でニュートラル展開、終盤に第2次展開として「黄金郷の獅子」とアミュレットを組み合わせるなど、初期マリガンによっては柔軟なプレイングが必要になるかもしれない。同じくデッキに組み込むアミュレットは「詠唱:獣姫の呼び声」で十分。「詠唱:二対の炎」は「獅子」が引けなかった状況で活かすことが難しい。
ニュートラルレジェンド:不思議の探究者・アリス 4点
構築も扱いも難しいカード。「均衡の大梟」が入るほど高純度のニュートラルデッキならば効果を発揮しやすいが、そもそもニュートラルデッキは展開力とドローが弱いので決め手には欠けるか。ニュートラルが10~15枚程度のデッキならば、2ターン目「天弓の天使・リリエル」、3ターン目「風の軍神・グリームニル」、4ターン目「不思議の探究者・アリス」、5ターン目「歴戦の傭兵・フィーナ」という理想の動きを想定でき、状況に応じてプレイするカードを変えたところでそれほど損はない。ニュートラルカードの採用は少ない代わりに「鏡の世界」での強制ニュートラル化を狙う動きは、同スペルが引けないと「アリス」も活かせない代わりにコンボが成立した際のメリットが大きい。特にエルフで「フェアリー」を強化したり、「アルベール」のバーストダメージを増やしたりするのが強力か。
ロマンカード。事実上のドラゴン専用と考えられる。ファンファーレ時に手札をすべて捨てるため、OTK系の動きが考えられる。このカードを活かすためには「ゼウス」や「ジェネシスドラゴン」を多数採用する必要があるため、つまりは事故率が高くなる。1コスト低い「天窮の竜神」の方が扱いやすく強力でデメリットも少ない。持久型のランプドラゴンに1枚くらいなら組み込んでもいいかもしれない。またはビショップで「ヘヴンリーイージス」と「バハムート」の同時出しで押し切る使い方もなくはない。
全カード評価は以下の通りです。
WLD総評
新弾のコンセプトがニュートラル強化ということで、「ニュートラルとの相乗効果がどれだけ活かせるかがカギになりそう」というのが一番の印象です。今回の新弾を最大限に活かすためにはデッキにニュートラルカードを多く採用する必要があり、つまりは各クラスのパワーカードの使用枚数を少なくしなければならないジレンマがあります。各クラスの正統進化的なデッキを目指すのか、ニュートラル軸の構築にするのか、またはクラスカードとニュートラルの融合系になるのか、それは各プレイヤーの好みと環境次第でしょうか。
新パックではエルフとヴァンパイアが大幅に強化されていると思います。どちらのクラスも2枚のレジェンドが優秀で、ゴールド以下にも使いやすくいカードが多数あるという印象です。一方で、ネクロマンサーとドラゴンの強化は微妙な気がします。ただ、両クラスとも「ダークアリス」・「ジャバウォック」という新機軸のカードがあるので、可能性はまだ残されていると思います。
最高評価点を付けたカードはすべてレジェンドですが、過去のアップデートを鑑みるとそれらはほぼ100%ナーフされません。ナーフ最有力候補は「鏡の世界」だと思います。ニュートラルシナジーを2コストで実現できるのは強力すぎるというのが理由です。次点で「茨の森」と「トランプナイト招集」を挙げておきます。
一方、世間では高評価なものの、個人的にはそれほど強くないと考えているカード(ゴールド以下)は「デモンオフィサー・エメラダ」(3点)、「ファントムキャット」(2点)、「三月ウサギのお茶会」(1点)です。各カードの効果は強力ですが相応に重いコストであり、事故率を考えるとバランスが崩壊するほどのカードではないかなと思います。
新環境の流れとしては、スタートではビショップが無難に強くて、やや遅れて構築の固まったエルフとヴァンパイアが追随してくると予想します。大穴はウィッチで、ネクロマンサーは冬の時代になるでしょう。
WLD予想まとめ
番外編;メンテナンス事案が起こりそうなカード
「ダークアリス」
自分の手札とデッキのネクロマンサー・カードを消滅させるという前例のない効果を持つから。「邪悪なる妖精・カラボス」の自他リーダーへの永続効果や、「不思議の探究者・アリス」の手札バフなどもこれまでにない効果だが、「ダークアリス」はその効果のプログラム処理がより大変そうだと思ったため。