AYUTANINATUYA

脱サラ・アラサー大学院生。日記と、趣味のゲーム・書籍・漫画などのサブカルを発信してます。

冬に見た旧作映画

 

 マイナーかもしれませんけど、お気に入りなのでぜひとも見てほしいです。

 

帰ってきたヒトラー

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 ナチス・ドイツを率いて世界を震撼(しんかん)させた独裁者アドルフ・ヒトラー(オリヴァー・マスッチ)が、現代によみがえる。非常識なものまね芸人かコスプレ男だと人々に勘違いされる中、クビになった局への復帰をもくろむテレビマンにスカウトされてテレビに出演する。何かに取りつかれたような気迫に満ちた演説を繰り出す彼を、視聴者はヒトラー芸人としてもてはやす。戦争を体験した一人の老女が本物のヒトラーだと気付くが……。
シネマトゥデイ・あらすじより引用)

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 基本的にはコメディーだけど、ヒトラーが国民と対話したり討論番組に出たりして人の心を掴んでゆき、ブレない姿勢で皆を引っ張ってゆくのは恐ろしくも感動さえ覚える場面がある。作中にはいわゆる「総統閣下シリーズ」をパロディするシーンもあり、もうすでにナチ系の映画を見ていても楽しめる工夫もされている。本筋から少し逸れるかもしれないが、昨今流行の「ヴァーチャルYouTuber」が、ヒトラーではなくてもそれに似た歴史上の人物を演じきることができたら、この映画と同じ物語が起きるかもしれない。

 

ダンケルク

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 1940年、連合軍の兵士40万人が、ドイツ軍によってドーバー海峡に面したフランス北端の港町ダンケルクに追い詰められる。ドイツ軍の猛攻にさらされる中、トミー(フィオン・ホワイトヘッド)ら若い兵士たちは生き延びようとさまざまな策を講じる。一方のイギリスでは民間船も動員した救出作戦が始動し、民間船の船長ミスター・ドーソン(マーク・ライランス)は息子らと一緒にダンケルクへ向かうことを決意。さらにイギリス空軍パイロットのファリア(トム・ハーディ)が、数的に不利ながらも出撃する。
シネマトゥデイ・あらすじより引用)

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 言葉少なげに陸・海・空それぞれのシーンが順繰りに描かれて、普通なら退屈しそうなところなのに圧倒的な映像美で心を奪われる。世界大戦の物語で、確かに人が死んだり船が沈んだりする極限状況下なのだが、カメラは一歩引いていて、緊張感というよりも臨場感を描いている希有な内容。監督のクリストファー・ノーランは過去に『インセプション』や『インター・ステラー』といったやや複雑なSFを撮っているが、『ダンケルク』はとてもシンプルで、もっと同系統の映画も見てみたい。

 

冷たい熱帯魚

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 熱帯魚店を営んでいる社本(吹越満)と妻の関係はすでに冷え切っており、家庭は不協和音を奏でていた。ある日、彼は人当たりが良く面倒見のいい同業者の村田と知り合い、やがて親しく付き合うようになる。だが、実は村田こそが周りの人間の命を奪う連続殺人犯だと社本が気付いたときはすでに遅く、取り返しのつかない状況に陥っていた。
シネマトゥデイ・あらすじより引用)

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 グロテスクさに加えて、選択を突き付けるストーリーのせいで映画5本分くらい見たような疲労感を覚えた。主人公は冴えない中年男性だけど、殺人鬼の言いなりに手伝いをしてゆくうちに彼自身が主犯になってゆく、そんな悪意の伝搬が本当に恐ろしい。やや似たようなテーマで『コラテラル』を思い出したけど、『冷たい熱帯魚』にはほとんど救いがなくて対になっているともいえる。映画について調べると埼玉愛犬家連続殺人事件というベースが出てきて、さらに驚く。

 

エクス・マキナ

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 検索エンジン世界最大手のブルーブック社に勤めるプログラマーのケイレブ(ドーナル・グリーソン)は、ほとんど人前に姿を見せない社長のネイサン(オスカー・アイザック)が所有する山荘に招かれる。人里離れた山間の別荘を訪ねると、女性型ロボットのエヴァアリシア・ヴィキャンデル)が姿を現す。そこでケイレブは、エヴァに搭載された世界初の実用レベルとなる人工知能の実験に手を貸すことになるが……。
シネマトゥデイ・あらすじより引用)

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 人間は2人しか登場せず、内容も「ロボットのチューリングテストを行う」という一点集中型の"小さな物語"。アクションがまったくなく、人工知能のとても専門的な部分を扱うことから、これまでに映画や書籍などでSFの知識を得ていないとストーリーに入りづらいのが難点。エヴァは最初、言動や行動、そしてカメラの映し方からしても人間らしくないような部分が残っているが、ストーリーが進むにつれてそれは洗練され、最後には1人の女性としか言いようのない姿になってゆく。人間とロボットの境界はどこにあるのか、またどういったタイミングでロボットは人間になるのかをよく考えさせられた。