AYUTANINATUYA

脱サラ・アラサー大学院生。日記と、趣味のゲーム・書籍・漫画などのサブカルを発信してます。

映画『シン・ゴジラ』感想

 

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 2017年11月12日(日)21:00~23:20、テレビ朝日系列で映画『シン・ゴジラ』が地上波初放送されました。ならびにニコニコ生放送でのリアルタイム鑑賞雑談会に多くの方に参加いただきありがとうございました(タイムシフトは削除しました)。
 今回『シン・ゴジラ』ならびに<ゴジラ>シリーズを初めて見たのですが、放送に来ていただいた方々とのコメントもあってその魅力を十二分に楽しむことができました。映画冒頭ではニコ生らしき、ニュース映像+コメントが流れるシーンがあり、放送の雑談をしている自分らが傍観者ではなく参加者として映画に取り込まれているような印象を受けました。そういう意味ではとても実況向けの映画であったと思います。

 

 あらすじは以下の通りです。

 東京湾アクアトンネルが崩落する事故が発生。首相官邸での緊急会議で内閣官房副長官矢口蘭堂長谷川博己)が、海中に潜む謎の生物が事故を起こした可能性を指摘する。その後、海上に巨大不明生物が出現。さらには鎌倉に上陸し、街を破壊しながら突進していく。政府の緊急対策本部は自衛隊に対し防衛出動命令を下し、“ゴジラ”と名付けられた巨大不明生物に立ち向かうが……。

シネマトゥデイより引用)

www.cinematoday.jp

 生物種の進化とか、東日本大震災とか、『ヱヴァ』との比較とか、いろいろと語りたことはありますが、1番はこれです。

 

私は好きにした。君らも好きにしろ

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(作中では牧博士による重要なメッセージ)

 こんなに「やり切った感」のある映画を久々に見ました。
(以降はネタバレを含みますが)シン・ゴジラ自衛隊が初戦闘(タバ作戦)を繰り広げるまで、TVカット版+CMで約1時間近くかかりました。それまでずっと官僚会議・ゴジラ動く・避難活動のループです。正直いって退屈で仕方なかったです。「早く1発ぶち込めよ」という感じでした。でも作り手側からすると、エンタメ感溢れるインパクトよりも物語の整合性やゴジラの「考察」の方が大切だったのでしょう。その構造をしっかり組み上げることで終盤への展開力や見終えた直後に感じるメッセージの大きさ、さらには口コミ的な『シン・ゴジラ』の伝播力につながっていったと思います。

 そして後は「これ映画でやったらどうなるの?(やりたい)」という試験的なことを余すことなく実行していった印象です。

  • 東京の街壊したらどうなる? → ゴジラを暴れさせまくって都市機能停止、渋滞を空撮
  • キャタピラってどう動くの? → 自衛隊の戦車動かしまくって撮影、かっこいい
  • 総理大臣死んだらどうなるの? → 内閣総辞職ビーム
  • 作戦に名前つけたい → ヤシオリ作戦
  • 電車で陽動仕掛けたい → 無人在来線爆弾
  • 働く車をいっぱい映したい → アメノハバキリ(ポンプ車)大活躍

 当映画は「もしゴジラが日本に襲来したらどうなるの?」という素朴な疑問から始まったのだと思います。様々な虚構をゴジラに重ねてしまいがちですが、ゴジラの存在そのものはフィクションであり、どこにもその疑問を検証する必要がありません。需要がなく、流行らないはずだったのです。ですが『シン・ゴジラ』においてはその期待感のなさを逆手に「好きにして」、その結果に鋭いながらも意味深なメッセージを持つ映画になってしまい、おまけに私たち観客が「好きにし」て論じているわけです。
シン・ゴジラ』についての感想・批評は2016年に膨大な数が書き込まれた反動で、以降はただ映画史の1ページとして細々と語られてゆくことになりそうです。2020年の東京オリンピック後に再鑑賞するとまた面白そうな予感はあるのですが、当時との温度差・時代錯誤も気になるので、まだ観ていないなら楽しめるのは今がラストチャンスだと思います。


 舞台が2010年代の東京でありますし、首都がどのような未来変貌を遂げるかもわかりません。関東圏に住んでいる人ならば、『シン・ゴジラ』を観た前後で自らの日常は少し違って見えるのではないでしょうか。