AYUTANINATUYA

脱サラ・アラサー大学院生。日記と、趣味のゲーム・書籍・漫画などのサブカルを発信してます。

アニメ『賭ケグルイ』感想

 

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 アニメ『賭ケグルイ』(2017年夏)全12話を見終えまして、感想を綴ります。

 

アニメ『賭ケグルイ』あらすじ

 ギャンブルの絶対的な掟。それは、勝負の果てに勝者と敗者が存在すること。勝者は富と栄誉を手にし、敗者は落伍者の烙印を押さえ、大いなる喪失を味わう。勝負が決するまでの静寂の中、本能は掻き立てられ、欲望は恍惚の境地に到達に到達する。資本主義の社会において、それはまさに人生の残酷なる縮図。人はなぜ、リスクを負う世界に心を奪われるのか? その狂気の先に目にするものとは。
 現代社会に存在する階級を崩壊させる! かつて体験したことのない"アドレナリン分泌系アニメ”が2017夏、誕生する。
(TVアニメ「賭ケグルイ」公式サイトより引用)

kakegurui-anime.com

 

 良作です。社会現象を巻き起こすほどの内容ではないですが、洗練されたキャラクターデザインと、漫画原作のストーリーを滞りなく進めていく脚本のテンポのよさで、簡単に楽しめます。

 ほとんど1~2話完結型で、

(起)種々の事情でギャンブル勝負をすることになる
(承)イカサマを仕掛けられる
(転)イカサマを見破り立場が逆転する
(結)ギャンブル終了、後日談となり、次なる相手が見え隠れする

 というのがおおよその流れです。こうなると主人公である蛇喰夢子や、その対戦相手となるキャラクターに深みを持たせるのが難しくなりますが、その辺りを奇抜な見た目やパンチラなどで補い、代わってギャンブルの駆け引きの描写に時間を割くことでアドレナリンが大量に出る展開へとつながってゆきます。
特に蛇喰夢子の「狂ってしまいますわ!」の決め台詞はわかりやすく、見る側にここから逆転劇が始まることをしっかり伝えてくれます。

 

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 諸手を挙げて評価できない点もたくさんあります。
 まずはギャンブルそのものがあまり深くない点です。ゲーム装置のように働いていて、他のギャンブルものやコンゲームものにはある深い戦略性や、プレイヤー間での複雑な利害関係、さらにはゲームルールの真の意図がありません。ただ、ゲーム性が浅いからこそテンポのよさと適度なエンタメ感を実現できているわけでもありますから、一概に悪いとはいえないと思います。
 ギャンブルものにリアリティを求めるのは酷でしょうが、それでもあまりにも現実感が無さすぎます。蛇喰夢子やその他生徒会のメンツがギャンブルの強さを裏付ける狂ったメンタリティを持つのは一定の理解があるとして、解説役の鈴井涼太がなぜギャンブル学園に入学したのかは理解に苦しみますし、どうやら人畜無害な生徒が多数派である私立百花王学園そのものを肯定することが難しいです。加えて、学園であるなら居るべき教師陣が一切描かれていません。
 少しサポートするならば、圧倒的なギャンブル勝者を生むためには大多数の敗者が居なければならず、ゆえに一般生徒が多いのは当然ともいえます。鈴井涼太についても、物語の進行上こういったキャラクターは必要上生まれたといえます。大人が描かれないことで蛇喰夢子と生徒会たちのギャンブル狂いは青天井となり、ティーンエイジャー特有の限りない想像の力で話がどこまでも面白くなってゆきます。

 

 アニメ『賭ケグルイ』は全12話構成で、第1~5話辺りまでは前述の通りにテンポがよかったのですが、6~9話辺りが中だるみ気味だったのが残念でした。個人的には原作からのギャンブル題材そのものがそれほど面白くなかったと感じましたし、アニメでの作画もあまり調子がよくない気がしました。第8~9話はアイドルがテーマであり、歌ったり踊ったりとかなりアニメ演出的な負荷がかかる内容だったのですが、そこで完全に息切れを起こしている印象でした。序盤における蛇喰夢子の“無敵感”が勝利展開を容易に予想させてしまったのも原因かもしれません。
 その分、第10話~最終話まではインフレとばかりに賭け金が増えてゆき、またギャンブル相手である豆生田も随分骨のあるキャラクターであったことから盛り上がったかと思います。

 最終話もきれいにまとまっています。第2期があるかどうかわかりませんが、ひとまず見通してよかったと思えるアニメです。その際にはまたNetflixで放送してほしいですね。