AYUTANINATUYA

脱サラ・アラサー大学院生。日記と、趣味のゲーム・書籍・漫画などのサブカルを発信してます。

SFは未来の出来事/アニメ『Dimension W』感想

 

f:id:ayutani728:20160611112300j:plain

 2016年4月から放送されていたアニメ『Dimension W』全12話を見終えたので、遅れながら感想を綴ろうかと思います。

 

アニメ『Dimension W』あらすじ

西暦2072年。

第四の次元「W」から無限のエネルギーを取り出せる「コイル」により

人類は繁栄の極致にあった。

しかしその裏では、正規外のルートから入手した「不正コイル」を使った犯罪が発生し、

回収に賞金首がかけられるようになった。

腕利きの“回収屋”マブチ・キョーマは、ある依頼の中で謎の少女ミラと出会う。

かつてコイル事故ですべてを失ったキョーマと、自分の出生の秘密を探るミラは、

共に「コイル」の真実を追うことになるが……。

Dimension W・公式ページより引用)

「もし無限のエネルギーがあったら?」というアイデア先行型の近未来SFアクションものです。主人公のキョーマは中年のおじさん(既婚)であり、相棒の少女ミラはアンドロイドなので、ラブストーリーの側面はなく、コメディの要素も少ないです。「コイル」を探すという主な目的からハードボイルドの色が濃いです。

 

 感想を一言でいうと、残念なアニメです。

 いくつかの理由があるものの、大きな原因の一つに「SF=未来の出来事なのに真実=過去ばかり追っている」という点があると思います。「コイルとは何か?」「事故の真相は?」「自身の出生は?」というのは劇中のキャラクターにとっては重要事項ですが、傍から見れば「ただ昔話を広げている」感覚で聞こえてきます。

 あとはコイルをはじめとする作中の未来技術の説明や演出が分かりにくいです。たぶん話数が限られているので、説明や解説のシーンは省略する、もしくは短いセリフで“説明したことにする”しかなかったのかもしれません。

 

 作画もあまり良い方ではないのですが、キャラクターがアップで映る際に背景が単色になってアクションするところがハイセンスでした。描写の負荷を減らすための工夫なのかもしれませんが、「アニメになった漫画」という雰囲気が随所に感じられて個人的には好きでした。

 それと声優について、取り上げたいのはミラ役の上田麗奈さんです。作中では見事に可愛いヒロインを演じているのですが、窮地に陥ったときは人間のように感情が込もっていて、一方で、普通のシーンでは音声アプリナビゲーターがセリフを読み上げるような雰囲気で、不気味でした。なんだか「こう演じてほしい」と自分が望んでいるのを体現しているようで、心地いいのですが、どこか奇妙でした。

 

 じつはこのアニメを見ている際には、二次創作感覚で「どうやったら『Dimension W』が面白くなるか」を考えていました。例えば、

・「世界システム」(どこでもコイルからエネルギーを取り出せるしくみ)の成り立ちを描く

(エネルギーの自由化は難題。もし実現しているなら裏があるかもしれない)

・コイル-アンドロイドの軍隊化や戦争

(小さな事件が起こるなら、大きな争いも起こるはずである。起こすだけの武器もある)

・コイル-アンドロイドだけのコミュニティ

(コイルやアンドロイドが半永久的ならば、それを利用した村ができるかもしれない)

・コイルの電脳化

(コイルはエネルギーやメカに対して使われている。コンピュータにはどうか?)

ということを想像していました。なので第1話を見たときには数々の展開が膨らんでかなり興奮していたのですが、回を追ってもキャラクター先導によって話が進んでゆき、世界観・設定といった「キャラクターが興味を持たないもの」に関してはあまり描写されず、正直いって拍子抜けでした。

 

 原作漫画は連載中ですが、アニメは区切りとしてはきれいに終わります。しかしミラの出生の秘密も分かっていないですし、他にもまだまだ面白くなる要素はたくさんあります。なのでぜひ第2期を制作して、あらゆる可能性を模索してほしいですね。