AYUTANINATUYA

脱サラ・アラサー大学院生。日記と、趣味のゲーム・書籍・漫画などのサブカルを発信してます。

大人向け青春群像劇/映画『脳内ポイズンベリー』感想

 

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映画『脳内ポイズンベリー』(2015)をみまして、感想を綴ろうかと思います。

 

まず当映画のあらすじについて。

携帯小説家の櫻井いちこ(真木よう子)は、飲み会で同席して以降興味を惹(ひ)かれる

年下の早乙女(古川雄輝)と偶然再会。声を掛けるか否か、彼女の脳内ではいろいろな

役割を持つメンバーが会議を繰り広げ、議長の吉田(西島秀俊)が取りまとめた結果、

早乙女を食事に誘うという結論に。その後交際に至るも、双方の誤解や彼の元恋人の

登場などで疲れ果てたいちこは、編集者の越智(成河)からもアプローチされ……。

シネマトゥデイより引用)

水城せとなによる同名漫画の恋愛映画です。

タイトルにもある通り、様々な選択について脳内会議をするシーンが、

大半とはいわないまでも4割くらいは描かれるのが、この映画の大きな特徴です。

 

この『脳内ポイズンベリー』は登場人物先行型の、大人向け青春群像劇です。

ストーリーは主人公が年下のイケメンと付き合い始めて、ケンカして、

他の男性に乗り換えるかどうか悩んで、結局は別れたりヨリを戻したりするだけの

定型的な流れであり、映像美も普通程度で、不思議な雰囲気も正直いってありません。

でも、脳内キャラクターの意見のぶつかり合いはストレートで清々しいです。

直感的なときめき、年齢的な妥協、過去のトラウマ、理想の入り混じりを、

とても子細に表現していると思います。

 

また興味深いところは「なぜ主人公は脳内会議をすることになったのか?」が

描かれていないところですね。主人公はちょっと内向きな性格ではあるものの、

多重人格者ではないですし、とても普通っぽい女性なのですが、

頭の中にはたくさんのキャラクターを抱えていて、しかも議長は男性で、

よく分からない黒い女も居る、ということがなぜなのか、まったく説明されません。

(脳内会議の存在は把握していそうだけど、それについてどう思っているかも分からない)

でもたぶん、人は誰でも脳内会議をもっていて、それとなく状況が伝わってくるところが

面白いところです。

 

脳内会議はずっと城の中の一室で行われるのですが、

それが映像的にちょっと退屈なのが惜しいところです。

物語の内容というかメッセージについても、あまり深いものではないというか、

もう一歩だけでも踏み込むことができたのではないかと思います。

 

すごく感情移入できる映画です。

一風変わった恋愛ドラマが見たい人、俳優の演技をよく注目して見たい人、

そして自分も脳内会議をもっている人に見てもらいたいです。