AYUTANINATUYA

脱サラ・アラサー大学院生。日記と、趣味のゲーム・書籍・漫画などのサブカルを発信してます。

2018年11月の読書リスト

 
村田紗耶香 コンビニ人間 

「普通」とは何か? 現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作
36歳未婚、彼氏なし。コンビニのバイト歴18年目の古倉恵子。日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる――。
「いらっしゃいませー!!」お客様がたてる音に負けじと、今日も声を張り上げる。
ある日、婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は恥ずかしい、と突きつけられるが……。
累計92万部突破&20カ国語に翻訳決定。世界各国でベストセラーの話題の書。解説・中村文則
文藝春秋BOOKSより引用)

books.bunshun.jp

 コンビニバイトが人生になる小説。手に取る前は宣伝用のあらすじから、コンビニという場所が紡ぎ出すハートフルな物語かと予想していたら、サイコパスな雰囲気で溢れていました。でも平凡な日常とも受け入れられるギリギリのバランスを保っていて、空気感の描写も展開のテンポも鋭く、素晴らしい一冊でした。

 

管付雅信 東浩紀ほか これからの教養 激変する世界を生き抜くための知の11講 

今日の世界は、かつてないほど急速な変化を遂げている。資本主義はその限界を露呈し、人工知能は人間の仕事を奪い始め、誰もが100歳まで生きる人生100年時代が到来しつつある。旧来の価値観が通用しなくなっていくなかで、「これから」をよりよく生きるためには、現在進行形のリベラル・アーツ(教養)が欠かせない。思想から経済、デザインにアートまで、各界のフロントランナー11人が、各分野の「これまで」と「これから」を紐解きながら、「これからの教養」を語り尽くす。
◉未来の創り手11人が考える、変わりゆく世界の「これから」
「僕たちは偶然性=弱いつながりを意図的に回復しなくてはいけない」(東)
「人間も機械も『人工生命化』していく」(池上)
人生100年時代には『大きな問い』が必要になる」(石川)
「新しいコミュニケーションやコミュニティをどう居心地よく造るかが問われている」(伊東)
「近代社会の原理から脱し、『よりゆっくり、より近く、より寛容に』」(水野)
「いまはまたゼロからビジネスをつくらなければならない時代」(佐々木)
「これからはものではなく価値を作っていく時代」(原)
「デザインをする部分が本質的になってきた」(深澤)
「『個人』という概念が社会システムを考えていく上で限界に来ている」(平野)
「スペクタクルの蔓延の中で見失われている『個人の独自性』を取り戻す」(松井)
「人間はデータから脱出しなければならない」(山極)
◉「はじめに」より
爆発的に増える情報量とそれらを瞬時に検索するネット環境、ビッグデータを駆使するコンピュータの発展にともなって、僕らは「既になんでも知っている」かのようなイメージがあるが、果たしてそうだろうか。逆に、より受動的で、自分の関心領域だけに閉じこもる人が多くなっているのではないか。さらに、世界で何が起きているかよりも、国内の事象や文化にだけ関心を向けている人も多いように思う。そうした精神ならびに知性の不自由さから解き放たれるためにも、異なる分野や言語を学ぶことには意味がある。教養はリベラル・アーツの訳語だが、人が自由(リベラル)であるためには技術と知恵(アーツ)がいる。異なるものを知らないと、人は自由になれない。本書は「これから」をより良く生きるための現在進行形のリベラル・アーツ(教養)の端緒に触れられるものになれればと意図している。
(ディスカヴァーサイトより引用)

www.d21.co.jp

 各分野のスペシャリスト11名へのインタビュー集。リベラル・アーツの大切な理念は分かりますが、そもそもの中身が中級者レベルに設定されている印象で、もう少し多くの人が手に取りやすい内容にしてほしかったです。また答えを明示してはくれませんが、興味を持った人の著書へ誘導する役割はしっかり担っています。10年代の文化傾向の整理にも役立ちます。

 

西尾維新 掟上今日子の乗車券 

掟上今日子――彼女の記憶は眠るたびにリセットされる。その特性をいかし、彼女は「忘却探偵」として活動していた。そんな今日子が営業活動と称し、ボディーガードの親切守を引き連れて旅にでる。目的地もとくに決めていないという。依頼があって動くわけではないこの旅、果たしてどんな事件が待ち受けているのか。
講談社BOOK倶楽部より引用)

bookclub.kodansha.co.jp

掟上今日子の備忘録』からはじまる「忘却探偵シリーズ」の第11巻目です。今回は今日子さんが営業活動に出かけることを発端とする連作短編であり、彼女のボディーガードである親切守が語り部となっています。また最後には、次巻『掟上今日子の五線譜』に続く序曲が、『備忘録』の語り部であり「冤罪体質」の隠舘厄介との対話で披露されます。
『乗車券』の全体的な雰囲気としては、同じ語り部と連作短編形式である『推薦文』に似ています。また、旅行という側面から『旅行記』の雰囲気も感じる一冊です。

ayutani728.hateblo.jp

 

山極寿一 「サル化」する人間社会 

なぜ家族は必要なのか。霊長類研究の第一人者が、警鐘をならす。「勝ち負け」のないゴリラ社会、「優劣重視」のサル社会。人間社会はどちらへ向かう?
♣ ヒトの睾丸は、チンパンジーより小さく、ゴリラより大きい。その事実からわかる進化の謎とは?
♣ 言葉が誕生する前、人間はどうコミュニケーションしていたのか?
♣ ゴリラは歌う。どんな時に、何のために?
☞ その答えは、本書にあります!
集英社インターナショナルより引用)

www.shueisha-int.co.jp

 ゴリラの生態系観察から人類学まで導く教養本。端的にいうと「サル化」とは孤立化・競争社会化という意味ですが、個々人が望んでその世界に飛び込んでいるわけでなくて、社会全体がそういった傾向にあり、そこに従属しないと生きてゆけないから仕方ないのでは? という感想です。確かにゴリラやサル社会の研究活動記録は面白いけど、それを人間社会にまで当てはめて語るには無理があるといいますか、議論が不足しているように思います。

 

アラン・ピーズ バーバラ・ピーズ 自動的に夢がかなっていく ブレイン・プログラミング 

世界27か国で話題沸騰のベストセラー、日本上陸! 脳の設定を変えれば、人生は、驚くほど思い通りになる。
★日テレ系「世界一受けたい授業」に著者が出演、大反響!! 「脳をだまして悩みを解決! 世界的ベストセラー作家の脳科学授業」
★世界累計2700万部を叩き出した『話を聞かない男、地図が読めない女』著者の最新刊!
★世界34か国で発売決定! 話題沸騰のベストセラー、ついに日本上陸!!
著者アランとバーバラが人生最大の危機におちいったとき、二人が頼ったのは脳科学だった。どうすればこの苦境を乗りこえて、成功への道を切りひらくことができるのか。最新の脳科学を学んだ二人が見つけ出したのは、危機をチャンスに変えるため、脳をプログラミングしなおす方法だった。そう、脳には、自分でプログラミングできるシステムがあり、これをうまく操作すれば、人生は驚くほど思いどおりになる。本書では、著者夫妻が自らの体験を赤裸々にユーモアたっぷりに語りつくし、人生を望みのままに形づくる技を伝授する。
本書に書かれていること:
脳科学の最新研究をどう利用すれば、人生を成功に導くことができるのか?
●人生を変えるには、まず何をすればいいのか? どうしたら自分の望みを知ることができるのか?
●信念を持って目標を貫きとおし、仕事も人間関係もバラ色の人生を手に入れるには?
「今の状況から抜け出したいのに、どうしたら最初の一歩を踏み出せるのかがわからない」そんな悩みも本書を読めば解決する。
この本を読めば、あなたが心から望むことが何なのかがはっきりし、それを手に入れるための方法がわかるだろう。そして、これからの人生で、どこへでも行きたいところへ行けるようになるには、どうしたらいいのかを知ることができるだろう。
サンマーク出版より引用)

www.sunmark.co.jp

 脳の機能を活かして思い通りの結果を引き寄せる自己啓発本脳科学の話は素人が読んでいても基本的に面白いですし、各章に短く格言やまとめが挿入されており、とても読みやすくなっています。また翻訳も老若男女問わず受け入れやすい文章作りになっています。あえて悪く言えば、よくあるアメリカ系の啓発本らしい内容でもあります(著者はオーストラリア出身)。