AYUTANINATUYA

脱サラ・アラサー大学院生。日記と、趣味のゲーム・書籍・漫画などのサブカルを発信してます。

ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』感想

 

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 2017年12月31日~2018年1月1日にかけてTBS系列にて一挙再放送されていたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の覚え書きです。

 

ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』あらすじ

「結婚とは?」=「恋愛+家事」である? 夫=雇用主、妻=従業員という不思議な関係! 結婚という「仕事」… あなたは アリですか? 新垣結衣が、契約結婚という訳アリ新妻に挑戦! 新感覚の社会派ラブコメディが、ついに連続ドラマ化 !!
(中略)
「誰かと暮らすということは、面倒でもあり、楽しくもある…???」さらには 「就職難」「派遣切り」「事実婚」「高齢童貞」「晩婚化」 など、今、現代社会で気になることまで詰め込んだ、新感覚の社会派ロールプレイング・ラブコメディがいま、はじまる !!

(TBSテレビ・火曜ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』はじめにより引用)

www.tbs.co.jp

 自分はとても小賢しいので、家事代行サービスとみくり(新垣結衣)の可愛さが支払う給与に見合うかをずっと天秤に掛けていました。

 

家事活動等の評価について - 内閣府

 ドラマ内でみくりに支払われる給料(年収304.1万円)は、「家事活動等の評価について -2011年データによる再推計-」という報告書に基づいています。さらに詳しく見てみると、専業主婦は1年当たり2,199時間の無償労働(家事)を行っており、ここから平匡(星野源)は時給を算出しています(3,041,000÷2,199=1,383円)。そこから平匡は1日7時間×月20日勤務として月給を算出し(1,383×7×20=193,620円)、諸経費(食費・光熱費・家賃等)を差し引いた額をみくりに支払っています。
 平匡の視点だと、みくりに給料を与えているのとは別に自身の生活費も必要になってきますし、おそらくドラマの中での諸々の費用(時間外労働費用・電車賃・外食費)も支払っているでしょうから、相当な収入が必要であり、またその大半を使っているのでしょう。それはやはり不経済であり、作中では平匡がリストラに遭いましたが、そうでなくても"やりがい搾取”的な入籍結婚は分かる気がしました。
(話が前後するが)ドラマ内で主婦の年収は304.1万円とされていますが、これは「もしみくりが家事労働時間を市場労働に充てたら」という仮定から算出するOC法(機会費用法)に寄ります。「もし家事を専門業者に頼んだら」という仮定から算出するRC-S法(代替費用法スペシャリストアプローチ)だと年収249.3万円になり、18.0%ダウンします。ドラマ内でみくりは派遣切りに遭っており市場労働価値を見いだしにくい点、また家事そのものが生活する上で必要にも関わらず「家事労働時間を他に充てる」という仮定が不可能であり、代替すると考える方が自然であるという点から、作中での給与はRC-S法による算出金額で議論されるべきだと思います。

 

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 みくりの視点でも色々と不満はあると思います。家事労働に給与が支払われるといってもその額は決して高くはないですし、ドラマ内では家賃(155,000円?)をはじめ様々な経費が平匡と折半であるため節約や貯金が難しく、また文句をいえば契約を打ち切られる可能性があり、親密になれば入籍結婚(無償家事労働)に転ぶかもしれません。
 あとは『逃げ恥』では「仕事としての家事」と「生活を営む上での家事」との間にある価値観のズレや課題を浮き彫りにしたものの、その解決策、あるいは解決案の1つを提示する、というのがないのが残念でした。
 恋愛ドラマとしては遅効性の毒に似た、じわじわと効いてくる感じがとても歯がゆかったです。

 

 初放送時に見ておけばよかったと後悔しましたが、今では各話あらすじのまとめや考察サイトが整備され、『逃げ恥』の世界をより楽しみやすくなっているとも感じます。第2期は製作されないようですが、また別の作品で『逃げ恥』のような社会風刺で、『逃げ恥』を超えるようなラブコメディを見たくなりました。