ということで、母に合う本を勧めることになったわけですが、選ぶのが難しいです。
単純に、世代や性別の違いで好みに違いがありすぎる、というのが大きな障壁です。僕の本棚には、伊坂幸太郎、西尾維新、森博嗣といった作家の小説が多いわけですが、これらは往々にして若い男性が好んで読む本であり、F3層にはあまり向いていません。
試しに僕の本棚を母親に眺めさせて、自由に本を手に取らせてみたのですが、結果、村上春樹の『1Q84』を選んでしまいました。母がどのような読書遍歴を辿って来たのかはわかりませんけど、おそらくそれほど熟練していない(そして村上春樹の著作を一冊も読んだことのない)人がいきなり『1Q84』に挑戦したら、高確率で挫折します(実際に母も途中で投げ出しました)。
やはりここは、僕が責任をもって選書して、そして母も責任を持って読んでもらう、というマンツーマン指導に切り替えました。なぜ子である僕がこんなことに頭を悩ませないといけないのかはともかく、それしかないと思いました。
- 作者: 谷川流,いとうのいぢ
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2003/06
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唐突ですが僕自身も、高校を卒業するまでは「ハリー・ポッター」シリーズと「涼宮ハルヒ」シリーズしか読んだことがありませんでした。そのせいで数々の場面において、心ない言動をすることが多かったです(今も多い)。しかし大学生になって、それまでの負債を返済するかのように本を読み始めたおかげで、それなりに体系的な読書経験を積むことができました。といっても、エンタメ系の小説から入って読書の楽しみ方を身につけて、あとはそれに関する古典や類型作品に手を伸ばしてゆく、というシンプルな方法ですけれど、母に対しても同じ計画を錬っています。
そして今まで勧めた本は、伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』、新海誠『君の名は。』、三浦しをん『船を編む』で、現在は有川浩の『図書館戦争』シリーズを読み進めてもらっています。『図書館戦争』は本編だけで4冊もある長編であり、難しい部分もありますが、読破すればこれまで以上の達成感が味わえるでしょうし、いわゆる「お仕事小説」や、その作中に出てきそうなルポタージュにも興味を持ってくれればいいな、と思っています。個人的にはレイ・ブラッドベリ『華氏451度』をはじめとしたSF方面に向かってほしい気もしますが、どうなるかわかりません。