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AYUTANINATUYA

20代の工場作業員だってこんなことを考えている

真摯な愛情/映画『思い出のマーニー』感想

Movie

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 映画『思い出のマーニー』(2014年)を見まして、その感想を綴ります。

 

思い出のマーニー

チェック:『借りぐらしのアリエッティ』などの米林宏昌が監督を務め、ジョーン・G・ロビンソンの児童文学を映画化したファンタジーアニメ。北海道を舞台に、苦悩を抱えて生きる12歳の少女杏奈と彼女同様深い悲しみを心に宿すミステリアスな少女マーニーとの出会いを描写する。『ジョーカーゲーム』などの高月彩良と『リトル・マエストラ』などの有村架純が声優を担当。主人公たちの目線で捉えた物語に心打たれる。
ストーリー:心を閉ざした少女杏奈は、ぜんそくの療養を目的に親戚が生活している海沿いの村にやって来た。そんなある日、彼女の前に誰もいない屋敷の青い窓に閉じ込められた、きれいなブロンドの少女マーニーが姿を見せる。その出会い以来、杏奈の身の回りでは立て続けに奇妙な出来事が起きるようになるが、それは二人だけの秘密だった。
(「シネマトゥデイ」より引用)

 見る前から不安要素がいくつかありました。

  • 1960年代のイギリス児童文学を、2010年代の日本に舞台設定を移しているということ。
  • ポスターやPVから見受けられるレズビアン的雰囲気。
  • 暗めなストーリーで、エンタメ要素が少なそうなところ。

 自分は、邦画ならオリジナル脚本か、日本が舞台の原作を基にした作品の方が好みである場合が多く、ヘテロセクシャルなので同性愛への感受性は低く、やっぱり映画は楽しいものが見たいと思っています。『思い出のマーニー』はそのポイントをことごとく外していて、地上波放送(2015年)も録画したままそのHDDがどこかへ消えてしまい、結局のところ「見るか見ないか」問題は放置していました。

 でもやっぱり見る決心をしました。理由は、地元のTSUTAYAのアニメ新作コーナーの隣がジブリコーナーで、そこで『思い出のマーニー』(旧作)は表紙を向けて大きなスペースを取りつつも貸出中の状態が多かったからです。

 

 見た感想。すごくよかったです。
 2人の少女の物語なわけですが、そこで語られることは、大人になればどうってことのない悩みだったり、そのことで親や友達にきつく当たったり、そして毒にも薬にもならなさそうな人には”良い子”の対応をしたりと、性別に関係なく誰にも共通する事柄です。それは繊細な表情と動きで丁寧に伝えられ、とても穏やかな心持ちになりました。

 

 でも鑑賞中に頭の中で考え巡らせていることは、「マーニーは何者なんだ?」ということです。主人公の杏奈は、ふとした出来事からマーニーと出会います。マーニーはブロンドに青の瞳で、明らかに日本人ではないです。お嬢様風のファッションをしているのに、屋敷には人が居ません。

 ホラーです。マーニーは幽霊なのか、杏奈のイマジナリーフレンドなのか、説明されません。映像では杏奈とマーニーに加えて、周りの人もマーニーのことを話題にするから空想ではなさそうなものの、かといって辻褄の合わないこともたくさんあります。そういった疑問を抱えつつ、表面上は牧歌的な話を追わなければなりません。映画の中盤は正直いって苦痛でした。

 

 しかし終盤になって、和解シーンの怒濤の連続です。まず杏奈が元気になります。微笑ましいです。次に親との関係性を取り戻します。テンプレート的とも見て取れますが、感動的です。また親戚の家を離れる場面に移ります。親戚夫婦はあっさりしているけれど、その快活さが涙を誘います。そして、マーニーの真相が語られます。家族の絆の強さを改めて思い知りました。

 

 杏奈とマーニーとの関係は、確かに友情を超えているようにも思えますが、清々しさを感じます。レズとか異性愛とか考えている自身の方がひねくれている、と感じさせるくらい真摯な愛情を描いている印象でした。

 それと映画の冒頭は、公園で絵を描いているシーンから始まります。杏奈の同級生がスマートフォンを所持していることから、2010年代らしいことが分かります。そこから療養というかたちで手際よく田舎町へ舞台が移ってゆく様は、ひとえに脚本のよさだと思います。

 とはいっても、他のジブリ作品と比べて万人受けは難しいかな、と思うような内容です。それだけ自らの評価点・不満点を洗いざらい語り合うことで、最後には「見てよかった」と思えるような一作だと思います。

 


「思い出のマーニー」劇場本予告映像

特装版 思い出のマーニー

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