読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

AYUTANINATUYA

20代の工場作業員だってこんなことを考えている

俺の誇れる俺になるんだ/アニメ『甲鉄城のカバネリ』感想

f:id:ayutani728:20160703110613j:plain

 2016年4月から放送されていたアニメ『甲鉄城のカバネリ』(全12話)を見終えたので、感想をまとめてみます。

 

甲鉄城のカバネリ

 世界中に産業革命の波が押し寄せ、近世から近代に移り変わろうとした頃、突如として不死の怪物が現れた。鋼鉄の皮膜で覆われた心臓を撃ち抜かれない限り滅びず、それに噛まれた者も一度死んだ後に蘇り人を襲うという。後にカバネと呼ばれる事になるそれらは爆発的に増殖し、全世界を覆い尽くしていった。

 

極東の島国である日ノ本の人々は、カバネの脅威に対抗すべく各地に「駅」と呼ばれる砦を築き、その中に閉じこもることでなんとか生き延びていた。駅を行き来ができるのは装甲蒸気機関車(通称、駿城)のみであり、互いの駅はそれぞれの生産物を融通しあうことでなんとか生活を保っていた。

 

製鉄と蒸気機関の生産をなりわいとする顕金駅に暮らす蒸気鍛冶の少年、生駒。彼はカバネを倒すために独自の武器「ツラヌキ筒」を開発しながら、いつか自分の力を発揮できる日が来るのを待ち望んでいた。

 

そんなある日、前線をくぐり抜けて駿城の一つ甲鉄城が顕金駅にやってくる。車両の清掃整備に駆りだされた生駒は、義務であるカバネ検閲を免除される不思議な少女を目撃する。

その夜、生駒が無名と名乗る昼間の少女と再会するなか、顕金駅の駿城が暴走しながら突入してきた。乗務員は全滅し、全てカバネに変わっていたのだ!

顕金駅に溢れ出るカバネたち。パニックに襲われる人々の波に逆らうようにして、生駒は走る。今度こそ逃げない、俺は、俺のツラヌキ筒でカバネを倒す!

 

――こうして、本当に輝く男になるための生駒の戦いがはじまるのだった。

(「甲鉄城のカバネリ」公式サイト・INTRODUCTIONより引用)

 フジテレビ系列「ノイタミナ」枠の、(原作なし)オリジナルアニメーションです。多数の有名スタッフが製作に集められたのと、大々的な宣伝、重厚なシリアスストーリーから、放送前からかなりの期待感があったアニメだと思います。物語のジャンルとしては、ファンタジー、和風スチームパンク、ゾンビパニックといった要素が挙げられます。

 

 各話リストは以下の通りです。

  • 第1話 脅える屍
  • 第2話 明けぬ夜
  • 第3話 捧げる祈り
  • 第4話 流る血潮
  • 第5話 逃げられぬ闇
  • 第6話 集う光
  • 第7話 天に願う
  • 第8話 黙す狩人
  • 第9話 滅びの牙
  • 第10話 攻め上ぐ弱者
  • 第11話 燃える命
  • 第12話 甲鉄城

 端的に、素晴らしいアニメでした。特に映像美と音楽がマッチしていて、アニメというよりアクション映画を見ているような感覚でした。またキャラクターに化粧を施した深みのある表情と、服を着る、物を取り出す、鍵を差込む等、何気ないシーンもなめらかで目を奪われました。服装も妙にエロティックでよかったですね。

 ただやっぱり、ストーリーはもう少し厚みを出せたのではないかと思います。ご都合主義的な流れも目立ちました。正直にいえば話数が足りていないと思います。主人公の生駒やヒロインの無名について、「なぜカバネと戦うのか」は描かれているものの、時間の都合上か、かなり短くまとめられています。重要人物には各1話ずつくらい費やして過去編をやっていれば、キャラクターにもストーリーにも深みと広がりがあった気がします。それと、作中の「数年後」みたいなシーンがあれば終わりがスッキリしたかもしれません。

 

 それと「カバネとは何か?」について謎が多すぎます。「なぜ心臓は金属皮膜で覆われるのか?」とか、「カバネになるのか感染症の類いなのか?」とか、「カバネリの心身はどうなっているのか?」とか、他にも様々な疑問が作中にあったことでしょう。異世界ものなので、すべてを説明するのは不可能に近いですが、これについても(過去編でもいいので)セリフでの解説シーンをしっかり設けるべきだったと思います。

 物語は序盤の「ヒト対カバネ」から後半の「ヒト対ヒト」に流れてゆくわけですが、後半では、恐れていたカバネをあっさり倒してしまうシーンが増えてきて、ゾンビパニックという世界観がやや崩れてしまっているように感じました。あとは(細かいですが)蒸気機関があるなら気球とか大砲とかも扱えそうなのですが、作中ではそれらが登場することがない、または少ないことに違和感を覚えました。

 

f:id:ayutani728:20160703110657j:plain

 個人的に1番好きなシーンは、11話「燃える命」のラスト、生駒が立ち直る場面です。生駒が改造した特殊な蒸気筒「ツラヌキ筒」を自らの右腕に取り付け、黒血漿を注射してカバネの力も増すという、彼が今まで積み重ねてきたものすべてを肯定する、受け入れる思いっきりのよさがカッコいいです。確かに、右腕のツラヌキ筒はどうやって作動しているのか、筒の反動はどう抑えているのかといった、細かい部分はいくつかありますが、「俺の誇れる俺になるんだ」のセリフが最高でした。

 

 アニメを見始めた若い人は気に入りやすい内容だと思います。一方で、『進撃の巨人』や『ギルティクラウン』といった、『カバネリ』製作の荒木哲郎監督の前作を見ている人にとっては、それらと比較しても楽しめるはずです。

 『甲鉄城のカバネリ』は最終回放送後に、前編・後編に分けた総集編が今年末から劇場公開されることが明らかになりました。前編は12月31日から、後編は2017年1月7日から2週間限定で全国ロードショーされるそうです。総集編というより、2クール放送か第二期製作をしてほしかった気持ちもあるものの、一層パワーアップした『カバネリ』が見られることを楽しみしたいです。

 

www.youtube.com

 

関連記事