AYUTANINATUYA

脱サラ大学院生(20代)。愛知県在住。日記と、趣味のゲーム・書籍・漫画などのサブカルを発信してます。ニコニコ生放送にてよく投稿記事を生執筆している。

安堂ロイド〜A.I. knows LOVE?〜 感想

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最近、2013年放送の連続ドラマ『安堂ロイドA.I. knows LOVE?〜』を見ていました。

なぜ今更(2015年)なのかといいますと、放送当時はタイトルから惹かれていたのですが

初回を見逃してそのまま見ることはありませんでした。

しかし最近になって各話リストや全体のストーリーがネット上で整理されたのと、

レンタルDVDが旧作価格で借りられるようになったからです。

 

SFに馴染んでいてかつフィリップ・K・ディック的なロボット論が好きな自分にとって、

安堂ロイド』は面白い部分もありましたし、ちょっと不満なところもありました。

 

まず本作のあらすじですが、

 

2013年のある日、一人の天才物理学者・沫嶋黎士(木村拓哉)が殺された。

 冴えない風貌ながらその世界では名の知られている大学教授で、ワームホール理論の

最先端の研究者だった黎士。ワームホールとは、時空構造の位相幾何学として考えうる

構造の一つで、時空のある一点から別の離れた一点へと直結する空間領域でトンネルの

ような抜け道の事である。

その研究が原因で殺されたのかは謎だが、彼には最愛の婚約者・安堂麻陽(柴咲コウ)がいた。

 

大手IT会社に勤める優秀なビジネスウーマンだった麻陽は、美人で頭も切れ、会社でも

周囲から仕事の出来るやり手と認められていたが、変わり者で天才の黎士と運命的な

出会いをして恋に落ち、愛する人との生活に満ち足りた日々を送っていた。

だが、そんな彼女に“最愛の人の死”という不幸が突如襲い掛かり、さらには彼女自身も

理由の判らぬまま正体不明の相手から命を狙われる身となる。

最愛の人を失った喪失感で茫然となり、最初は自分の命の危機に無防備な麻陽。

だが、そんな彼女の前に、死んだ黎士とそっくりの容姿をした謎の男・ロイド

木村拓哉・2役)が、机の引き出しの中から現れる──!

黎士が麻陽に残した誓いの言葉に導かれているかのように……

 

ロイドの唯一の使命は、麻陽をあらゆる危険から命をかけて守ることだった。ロイドは

麻陽の平穏を守るため、麻陽に気づかれないまま戦いに出て、そして傷ついて帰ってくる。

「力のない正義は無意味」が彼の哲学。だから自分の身は自分で守るべきだし、自分の

大切な人を守るためなら実力行使も当然。一方で「愛」という言葉を知らず、

人間の怒りや悲しみも理解できない。最初はロイドに嫌悪感を示す麻陽だったが、

彼自体の悲しい存在に気づきはじめ、徐々に心を寄せていく…。

そしてロイドも麻陽をガードしながら生活するうちに、彼の中に感情が芽生えていく…。

 

現在と100年先の未来の思惑が交差する世界で、

“愛”を理解できない男と“愛”を失った女の二人が導かれる運命とは──。

黎士は果たして誰に、そして何故、殺されたのか?

そして、黎士の恋人である麻陽も何故、黎士同様に命を狙われることになるか?

ロイドは何故2113年から麻陽を護るためにやって来たのか?

ロイドに麻陽の命を守る使命を依頼したのは一体誰なのか?

ロイドと麻陽の未来はどうなっていくのか…?

“愛”という言葉を理解できなかったロイドは、命をかけて麻陽を守りぬく中で、

2人の“愛”に奇跡は起きるのか・・・。

100年の時空を越え、“愛”をかけた戦いが、今、はじまろうとしている──!!

http://www.tbs.co.jp/ANDO-LLOYD/story/ep0.html

 

簡単にまとめると、「ある日突然最愛の人の中身がアンドロイドになってしまったら?」

というところから始まるストーリーです。

タイトルとか公式サイトとか各話とかにも明確にかかれている通り、ラブストーリーの

要素が強いです。つまりは『ターミネーター』や『アイ,ロボット』などのこってりとした

ロボットストーリーとは一線を画していまして、前述の映画は“人類とロボット群”という

「大多数と大多数」を主題においていますが、『安堂ロイド』は「わたしとアンドロイド」

という“個人と個体”をテーマにしています。

むしろ『イヴの時間 Are you enjoying the time of EVE ?』に近い印象を持ちました。

もちろんラブストーリーだけではなくて、アクションシーンもあり、

人間同士やアンドロイド同士の禅問答もあり、様々な要素の詰まったドラマです。

 

安堂ロイド』の良かったところは端的に、SF以外の“小設定”が凝っていたところです。

沫嶋黎士の将棋ネットゲームのハンドルネームが「バレエメカニック」だったり、

ロイド眼鏡をかけたり、そもそも人物名がSFや理工学分野の偉人からとられていたり、

ARXII-13を「虐殺器官」と称したり、サンソン家の紋章を掲げたりと、

数々のマニアックな設定が取り込まれているところです。こういう部分が、ちょっと先の

未来を描くSFに必要な“歴史へのリスペクト”を感じさせるために重要であり、

安堂ロイド』はその点をよく掴んでいました。

ロイド(木村拓也)に対して「何なのよこいつは!」と泣き叫ぶ安堂麻陽(柴咲コウ)は、

まさに作品の主題である「わたしとアンドロイド」を象徴するシーンでもあり、

アンドロイドを愛することはできるのか?

アンドロイドから愛されることができるのか?

を問う場面がたくさんあります。普段はアンドロイドものなんて見ない人たちにとって、

分かりやすく描かれている印象でしたが、深い部分では新しい要素は少ないと思いました。

 

安堂ロイド』の悪かったところはたくさんあるのですが、数点を挙げれば、

・各話とも「問題発生→解決に奔走→戦闘→話を収集して終わり」のサイクルがマンネリ。

連続ドラマの後半1話をまるまる“過去編”に使って、

ロイドの過去の話を清算しつつ各話の構成にすれば面白かったかもしれない。

・徐々にロイドの秘密が明らかになってゆくのはSF系のお決まりの流れだが、

秘密が明らかになってゆくスピードが遅すぎる(10話構成での第8話目)。

なおかつ秘密が大したことない。

5話くらいで明かして、さらに8話くらいで再度明かすくらいの深みが欲しかった。

・2113年のエピソードが少なすぎる。

かつその説明が2013年の口述のみで情報が限定的すぎる。

・クライマックスでロイドはARX IX-THE LAST QUEEN桐谷美玲)と対峙するが、

愛による説得で説得できていない。この結果は主題に矛盾するように思える。

 

日本発のSF映像作品、それも狭義のSF作品は、ゼロ年代以降では少ないように思います。

そんな中で大物キャスト・スタッフを揃えて製作された『安堂ロイド』は、

近い将来、アンドロイドは普段の日常の中に浸透するかもしれない、もしくは浸透している

状況になったときに、「これって『安堂ロイド』の世界だよね」と表現できるくらいに、

今作はある種のシンボルマークとなるくらいに意欲的な内容だと思います。

 

安堂ロイド~A.I. knows LOVE?~ DVD-BOX

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安堂ロイド~A.I.knows LOVE?~オリジナル・サウンドトラック

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