AYUTANINATUYA

脱サラ・アラサー大学院生。日記と、趣味のゲーム・書籍・漫画などのサブカルを発信してます。

Reference・2016

書いた話、書いている話、書くだろう話は、少なからず以下のものに影響を受けました。
ニュース、ドラマ、アニメ、ラジオ、音楽、漫画、雑誌、新聞、書籍、および人。
それら全てをカウントすると面倒なので、書籍、映画に絞ります。
2016年に読んだ書籍、観た映画です。

面倒な理論をすっ飛ばせる/アニメ『僕だけがいない街』感想

f:id:ayutani728:20160611112520j:plain

 2016年1月から放送されていたアニメ『僕だけがいない街』全12話を観終えたので、遅れながら感想を綴ろうかと思います。

 

 まず当アニメのあらすじについて。

 漫画家としてデビューするも、いまひとつ結果を出せずに毎日を過ごす青年・藤沼悟。彼は、彼の身にしか起こらない、ある不可思議な現象に不満を感じていた。

――リバイバル(再上映)

 何か「悪い事」が起こる直前まで時が巻き戻る現象。それは、その原因が取り除かれるまで何度も繰り返される。……まるで、誰かに「お前が防げ」と強制されているかのように。

 しかし、ある日起きた事件をきっかけに、その現象に大きな変化が訪れる。

 自らの過去に向き合う時、悟が目撃する真実とは?

 そして、悟の未来は――?

(『僕だけがいない街』・あらすじより引用)

 本作品は三部けいによる漫画を元にした、タイムスリップミステリーです。リバイバル(再上映)という時間逆行ができる主人公・藤沼悟は、ふとしたことから18年前の誘拐事件を思い出します。そして帰宅すると母親が殺されており、逃げ出して気づいたら、昭和63年の北海道に戻ってしまいました。そこで誘拐事件の解決が18年後の殺人防止につながると考え、解決に奔走する、というストーリーです。

 

 ネタバレは極力避ける方向で話を進めます。

続きを読む

フィリップ・K・ディックのおすすめ短編

f:id:ayutani728:20160911190946j:plain

 大森望の編纂によるフィリップ・K・ディック短篇傑作選(全6弾)を読み終えたので、その紹介とおすすめ短篇を綴ります。

 

Philip Kindred Dick

 SF小説家。「高い城の男」ヒューゴー賞(1962)、「流れよ我が涙、と警官は言った」ジョン・W・キャンベル記念賞(1975)、「高い城の男」ローカス賞(1975)などの受賞歴がある。53歳の時に脳卒中で生涯を終えた後も、「ブレードランナー」(原題・アンドロイドは電気羊の夢を見るか?)、「トータル・リコール」(原題・追憶売ります)、「マイノリティ・リポート」(原題・少数報告)、「スキャナー・ダークリー」(原題・暗闇のスキャナー)など多数の作品が映画化される。1983年には、SF作品を対象としたフィリップ・K・ディック記念賞が創設される。

(「TSUTAYAフィリップ・K・ディック のプロフィール」より引用)

 映画・映像原作としてアメリカで大人気のSF小説家です。直接的な原作でなくても、「マトリックス」、「インセプション」、「PSYCHO-PASS」といった、後の人気作品に多大な影響を与えた作家です。

 

 PKDは長篇に人気作品が多いですが、デビュー当時は短篇が中心でした。映像化された短篇も多く、「アジャストメント」、「にせもの」、「トータル・リコール」、「マイノリティ・リポート」、「ペイチェック」、「ゴールデン・マン」、「変種第二号」が原作に当たります。

 哲学的な物語もあれば、政治や宗教に踏み込む内容、幻想的なおとぎ話もの、ワンアイデア・ストーリー、バカSFなど、それぞれの短篇は独自の内容を含んでいます。

 

 では、各短篇傑作選の紹介に移ります。

続きを読む

赤コート購入記

f:id:ayutani728:20161221150720j:plain

 寒空のもと、名古屋PARCOに赤コートを買い求めにゆきました。
 
 紆余曲折ありながらも、就職して働き続けたということで、ボーナスを貰ったので、学生時代からの目標だった「赤いコートを購入する」を達成しにゆきました。
「なぜ赤いコートなのか?」ということを話し始めると長くなります。まず、自分の持ち物の半分くらいは赤色です。靴、スマホケース、文庫カバー、……「赤色好きなんだ?」と訊いてくる人たちに対して、同じ説明を繰り返していますが、自分は別段に赤色が好きではありません。というより、色に好き嫌いという考えはありません。RGBとかCMYKとかL*a*b*といった数値と捉えています。数値に好き嫌いがあってもいいとは思いますが、自分にはありません。
 赤色を選ぶ理由は、赤色が注目を集めやすい色なので、戦略的といいますか、色による波及効果が大きいと思うからです。それと「赤色以外を選ばない」という決定をスムーズに行えるからです。

小説『掟上今日子の旅行記』感想

f:id:ayutani728:20161221203122j:plain

 西尾維新による小説『掟上今日子の旅行記』を読み終えまして、その感想を綴ります。
 

掟上今日子の旅行記・あらすじ

エッフェル塔をいただきに参上致します。―怪盗淑女」不穏な犯行予告を阻止するため、パリに招かれた忘却探偵の掟上今日子。しかし怪盗の真のたくらみは、今日子さん自身にエッフェル塔を盗みださせることで…!? 奪われた記憶と華麗なる罠。助手役を担う隠館厄介は、怪盗の魔手から今日子さんを救えるか?名探偵vs.怪盗のタイムリミット・ミステリー!
(「BOOK」データベースより引用)
掟上今日子の備忘録』からはじまる「忘却探偵シリーズ」の8巻目です。今回の語り部は“冤罪体質”の隠館厄介であり、今日子さんと波乱の旅行を繰り広げる長編ミステリです。
 厄介が登場し、長編ということもあって、全体的な雰囲気としては『遺言書』や『婚姻届』に似ています。しかし一方で、フランス・パリを舞台に、今日子さんの態度も一転二転することから、番外編とも捉えることのできる一冊です。

FLIX落ち

f:id:ayutani728:20161221180648j:plain

 オンラインレンタルの「NETFLIX」と契約しました。
 理由としては、以前からTSUTAYAに毎週通っては何かしらの映画やドラマやアニメを借りてきていたわけですが、それにかける時間とお金を節約したい、ということに尽きます。
 ストリーミングサービスには「dTV」「hulu」「U-NEXT」「Amazonプライム・ビデオ」「TSUTAYA TV」等々があるわけですが、PlayStation4を経由して映像を見たかったので、それに非対応のサービスを選択肢から除外しました。あとは「NETFLIX」だと安い(税込702円)ですし月契約なので、肌に合わなかったらすぐに破棄できると考えて選びました。
 
 契約して、よく操作方法も分からないままに利用者をラインアップ一覧に放り投げるのはどうかと思いましたが、「なんでも視聴できる」という万能感が第一印象でした。単純に、ラインアップを眺めて、「このドラマ前に見て良かったなぁ」「この映画も配信しているのか」「このアニメ懐かしい」なんて考えているだけの楽しい時間を過ごせました。でもよくよく観察してみると、やっぱり『スター・ウォーズ』みたいな超大作の配信はほとんどされていないですし、新着で配信されている映像も、マイナー作品か、実写『進撃の巨人』みたいな低評価のものが多いようです。全部にレッテルを貼付けるべきではないと思いますが、巨大資金が投入された作品がNetflixで配信され始めた際は「FLIX落ち」と(心の中で)呼ぶことにします。
 
 そして今後は「NETFLIX」で配信される映像関連の話が増えるかと思いますが、ご理解ください。
 

お知らせ:ブログ更新を再開します/2016年12月

 鮎谷ナツヤです。まずはじめに、ここ数週間の更新が滞ってしまい申し訳なかったです。理由は、仕事が忙しかったのと、それに伴ってブログを書くモチベーションが萎んでしまったからです。
 
 自分もそれなりにブログを続けていまして、眺めていると、いつの間にか更新が止まって、音信不通になるケースを多々見かけます。「残念だな-」と思うと同時に、ブログというコンテンツにはどこかしら欠陥があって、一定割合で続けられない原因があるんだろうな、とも考えていました。
 でもまさか、自分もそのような状況に(しかも12月に)陥るとは予想していませんでした。
 
 一応、休止中も本を読んだり映画を見たり、他にも何かしら印象的なできごともあったので、その辺りのことを後追いで書き綴れたらいいなと思います。
 根本的な解決(仕事を辞める、モチベーション持続の習慣を確立する、ブログの更新を自動化する)といったことはしていないので、それほど遠くないいつか、また更新が途切れ途切れになってしまうかもしれませんが、できるだけ善処してゆきますので、これからも生温かい感覚で話を読んでいただけるとうれしいです。
 
 以上、2016年12月のお知らせでした。

2016年10月の読書リスト

 これまで紙で購入してきた作家やシリーズ本を、電子書籍に切り替えるべきか、すごく悩んでいます。
 

01. 暗号解読(サイモン・シン 青木薫

暗号解読〈上〉 (新潮文庫)

暗号解読〈上〉 (新潮文庫)

 
暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)

暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)

 

 暗号の歴史と、それにまつわる人間ドラマと、将来の展望を詰め込んだ科学ノンフィクション。個別記事を作成しました。

ドラマ『時をかける少女(2016年)』感想

f:id:ayutani728:20161204105645j:plain

 2016年7月から放送されていたドラマ『時をかける少女』(全5話)を見終えたので、感想を綴ります。
 

時をかける少女(2016年版)

 ある日の放課後。理科実験室でラベンダーの香りを嗅いでから、少女は「時を自在に超える能力」を身につけた。そこから起こる不思議な出来事……繰り返す毎日……そして、未来からやって来た少年に抱く、初めての「恋心」。きっと、今年は忘れたくない「夏」になる。
 幾度となく実写映画化・アニメ化・舞台化されてきた名作『時をかける少女』。この作品は何十年たっても色あせることのない青春小説の金字塔。そして……発表されてから50年というタイミングで連続ドラマ化が決定!
 2016年版『時をかける少女』最大の特徴は史上初の試み…時をかける少女だけではなく、未来からやって来た少年ケン・ソゴルの目線からも同時に物語を描くこと。
 今まで描かれてこなかった未来人ケン・ソゴル。彼の感じた切なさや思いを描くことによって『時をかける少女』という物語が今、新しい魅力を持って生まれ変わる。
「時をかける」少女と少年、そして「淡い恋」と、「暑すぎる夏」……。
 この夏、誰もがあの日経験した、青春のもどかしさと切なさが蘇る。
時をかける少女・イントロダクションより)
 言わずと知れた名作ジュブナイルSFのリメイクドラマです。
 映画とテレビドラマだけでも(本作を含めて)『時をかける少女』は計9回も制作されています。
  1. 1972年 ドラマ(主演:島田涼子)
  2. 1983年 映画(主演:原田知世
  3. 1985年 ドラマ(主演:夏野陽子)
  4. 1994年 ドラマ(主演:内田有紀
  5. 1997年 映画(主演:中本奈奈)
  6. 2002年 ドラマ(主演:安倍なつみ
  7. 2006年 映画(アニメ監督:細田守
  8. 2010年 映画(主演:仲里依紗
  9. 2016年 ドラマ(主演:黒島結菜
 年々によってそれぞれの良し悪しがあるでしょうが、そういった部分が様々な世代で語られるのが『時かけ』の持ち味だと思います。
 そして忘れてはならないのが、世間一般に対してタイムリープという概念の浸透です。タイムリープ・タイムトラベル・テレポーテーション・タイムパラドックスパラレルワールドといった難しい専門用語を各少女はエネルギッシュさで内面に取り込んでゆきます。そして少女を通じて視聴者がタイムリープを理解してゆくのは、SFの基本教養に大きく貢献していることでしょう。
 一方、何度もリメイクされることでで、視聴者の中ではその代表格なるものが形成され、以降のリメイク作は厳しい比較に晒されます。なので以前の『時かけ』要素を継承しつつ、その時代特有のエッセンスを取り入れることが求められます。

管制塔/2016年11月の短文集

オンライン・フィルム・ストリーミング

 毎週末になるとTSUTAYAに足を運んでいるのですが、辞めようか迷っています。そしてHuluをはじめとするオンラインレンタルに切り替えようかと考えています。
 だいたい1ヶ月に1500円前後のお金と、店舗の往復と作品選別に約1時間をTSUTAYAに費やしている現状ですが、それが何だかもったいない気がしてきました。ならば自宅で気軽に選び放題・見放題のネットストリーミングの方が、数字としてはメリットが大きいわけです。
 歯止めをかけているのは、自分は映像や音楽を借りて楽しむのが好きなわけではなくて、TSUTAYAでどの作品を借りるか悩む自分が好きなのかもしれない、ということです。意味の分からないことを書いているかもしれませんが、あえて旧態依然の方法でコンテンツを手に取った方が、いざ見る・聴く場面になったときに、その熱意の入れ方によって感受性が高まっている、かもしれないということです。正直なところ、深層心理みたいなものなので分かりません、誰にも。
 もう少し現実的な事柄には、以下のものを並べ立てられます。
  • オンラインレンタル会社と契約するのが面倒くさい
  • torne(録画機器)があり、地上波放送番組は録画して視聴できる
  • 作品の配信が早い
  • コアな海外ドラマは見ない
 でもじつは、マイ「見たい旧作映画リスト」の本数が枯渇しそう、正しくはリストに載ってはいるが近所のTSUTAYAで取扱っている映画が少ないので、頃合いを見計らってネットレンタルに乗り換えようと思います。

キズナシステムとめんま/アニメ『キズナイーバー』感想

f:id:ayutani728:20160918134048j:plain

 2016年4月から放送されていたアニメ『キズナイーバー』全12話を見終えたので、遅れながら感想を綴ります。

 

キズナイーバー

あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『心が叫びたがってるんだ。』など数多くの青春劇を手がけた岡田麿里が脚本を手掛け、キャラクター原案に漫画家・三輪士郎を、そして『キルラキル』『神撃のバハムート GENESIS』などで絵コンテ・演出を手掛けた若手実力派・小林寛を初監督に迎えて動き出した新プロジェクト。

 キズでつながるキズナの物語―。少年少女たちの「痛み」を分け合う青春群像劇がいま、始まる!!

 

 舞台は、埋立地に作られた街・洲籠市。かつては未来型都市として栄えたこの街に住む高校生・阿形勝平は、なぜか痛みを感じない不思議な身体を持っていた。夏休み目前となったある日、勝平は謎の少女・園崎法子の手引きにより、痛みを共有する仲間「キズナイーバー」の一人に選ばれてしまう。そして、同様に「キズナイーバー」として繋がれたクラスメイトたち。しかし、彼らは本来なら仲良くなることのない別々のグループに属していた。

 園崎は言う「これは、争いに満ちた世界を平和に導くための実験なのです。」その言葉とともに数々の試練が彼らに降りかかる。

 互いの傷を背負うことになった、少年少女たちのひと夏の物語がここから始まる!

(TVアニメ「キズナイーバー」公式サイト・STORY・#INTRODUCTIONより引用)

 突如として痛みを共有することになってしまった高校生男女による物語です。ストーリー要素を列挙するなら、オリジナル脚本、青春、SF、哲学系、といったところでしょうか。

 

 何よりもこのアニメ、掴みが素晴らしいです。登場するキャラクターの性格もよく分からないままに彼らは「キズナイーバー」にされて、いきなりの脱出ゲームが始まります。それだけ強引な展開なのに、魅力的なキャラクターデザイン、秘密が隠されていそうな街の雰囲気、象徴的な痛覚描写が、今後の想像を膨らませます。

 もちろん序盤だけでなく、話数が進む度にキズナの謎が少しずつ明らかになり、各キャラの内面が明らかになり、そしてより掘り下げた問題や事件が起こってゆきます。それだけ設定が作り込まれた王道的SFストーリーであり、なおかつ“共感”しやすいのが本作の特徴です。

続きを読む

祖父の葬式

f:id:ayutani728:20160918182735j:plain

 祖父が亡くなりました。満89歳でした。
 原因は、まず肝臓に8cmほどのガンがありました(半年ほど前に発見)。もう手術や薬物治療が手遅れなのと、肝臓の機能が低下したことから他の内臓の機能も低下し、体内に水分が溜まってゆきました。水分が溜まると痛いので食事が取れず、そのために身体機能がますます低下してゆき、結果として多機能不全であの世へ逝きました。
 
 二親等以内の死別は人生で初めての経験でした。しかし祖父とは生前からあまり話す機会がなくて、親戚一同が集まってもお互いに直接の会話はなかったですし、ある拍子に自分と祖父の2人きりになっても沈黙を貫いていました。
 
 ということで、結構な身内の立場でしたが、感情関係の希薄さと、持ち前の観察癖をもって葬式をずっと眺めていました。

小説『世界から猫が消えたなら』感想

f:id:ayutani728:20161119130715j:plain

 川村元気による小説『世界から猫が消えたなら』を読み終えまして、感想を綴ります。
 

世界から猫が消えたなら・あらすじ

 郵便配達員として働く三十歳の僕。ちょっと映画オタク。猫とふたり暮らし。そんな僕がある日突然、脳腫瘍で余命わずかであることを宣告される。絶望的な気分で家に帰ってくると、自分とまったく同じ姿をした男が待っていた。その男は自分が悪魔だと言い、「この世界から何かを消す。その代わりにあなたは一日だけ命を得る」という奇妙な取引を持ちかけてきた。僕は生きるために、消すことを決めた。電話、映画、時計…僕の命と引き換えに、世界からモノが消えていく。僕と猫と陽気な悪魔の七日間が始まった。二〇一三年本屋大賞ノミネートの感動作が、待望の文庫化!
(「BOOK」データベースより引用)

 2016年には主演・佐藤健により映画化もされた、すこしファンタジックなヒューマン・ストーリーです。

 世界からモノを消すのと引き換えに、主人公である”僕”の寿命が1日延びるという悪魔の取引に応じ、実際に消失する瞬間、消失した世界を体験することで、日常に埋もれている大切なものを再認識してゆきます。
 ちなみにタイトルに『猫』とありますが、それは物語の象徴的な意味合いの単語であり、主人公が過度な猫愛好家というわけではありません。もちろん、猫や動物がそれほど得意でない人でも読み通せる内容になっています。
続きを読む